【考察】
炭酸ガス泉浴剤を使用した温湿布が褥瘡治療に何故効果があるのか。
創部の温度上昇、血管拡張により褥創機能治癒機能が働くためと考えられている。
この温度上昇は水道水温湿布に比べ炭酸ガス泉浴剤を使用した温湿布の方が1~2℃有意に上昇し、
また、褥瘡部分が周囲部位より高温に維持できることがわかった。
創部は真皮が露出しており、血管軟部組織と近くなるため
一旦表皮を通して炭酸ガスを血管に送り込むよりも、より直接的に血管拡張作用が働くためと考えられる。
一方、湿布周辺部においては、温湿布をする際に比べ皮膚温度が低下する結果になった。
それは、褥瘡部分が血管拡張することにより血液が褥瘡部分に流入するため、周辺部分に盗血現象が起こるためと考えられた。
温湿布法を用いた治療においては、周辺に褥瘡があるならば同時に周辺も湿布するなど注意が必要である。
【結語】
人工炭酸泉剤による温湿布の褥瘡治療を試み、また水道水湿布と比較した結果、
人工炭酸泉浴剤は難治性褥瘡を改善することと、水道水湿布に比べ人工炭酸泉浴剤湿布の方が高温に維持されること。
が示唆された。
文献 〈人工炭酸泉浴剤の褥瘡温湿布療法における皮膚温の変化〉
著者 前田真治、高橋由美 他 北里大学東病院